<2003.5.11> 遠来の客を迎え

・・・・・ 曇りのち雨 ・・・・・

雨の落ち始めはまだ先の様だが 雲は頭上低くに

重く圧し掛かる もう何程もせずこのキャンプサイトも

濃密な雨雲に覆われてしまうのだろう。

”早目の手配を考えないと・・・”

昨夜寝袋へと潜り込んだのは 既に夜中の3時を

過ぎて居た 後数時間後には 遠来のお客様も

姿を現す事だろう 今回の役目を勤め上げるには 

早朝の今以外竿を出す時間は無かった 酒の残る

寝不足の頭を振りながら身支度に掛かるが とうとう

誰も起きて来る気配は無い  やれやれ!


根尾川本流へと立ち込むのは 何年ぶりに成るだろう

あの当時に比べ 水の色も記憶の片隅に残る物とは

根尾川に注ぐ谷

幾分差を残し 何と無く人間臭さを感じ出している しかし目前に続く瀬は 紛れもない根尾川の物で

竿さえ出す事を忘れ 一時眺めていたら 過ぎ去った時と仲間の横顔が思い浮かぶ 若くして逝って

しまったヤツと 今この時も病に伏せるあいつ! そして今日迎える新しき出会いの数々  想うに

人との出会いとは 実に面白いものだ

流れ込みから続く この川特有の長い深瀬は 其の

下段へと落ちるまで 水面を刻む波立ちは消え 

渓魚が潜む 沈み石ひとつ々の形さえ 手に取る

様に見えて来る  ”おっと アタリだ?”

軽い手返しで竿を煽ると ヒラヒラと 木葉アマゴが

宙を舞う そう型はもうどうでも良いのだ 思い出多い

根尾アマゴとの再会 魚体に触れぬよう そっと鍼を

外してやると 一目散に流れの中に消えた

これでもう充分満たされていた さてそろ々皆を

起こそうか 降り出す雨の 準備も始めないと。

根尾川らしいアマゴにヤマト岩魚
<1970年代後期>


時雨模様の中 一人また一人と集まり出した釣師達 さあ〜宴の始まりだぜい。

                                                   OOZEKI